携帯電磁波の何が問題なのだろう

問題点を明確化するために電磁波問題を分解してみよう。
まず、電磁波問題は下記のふたつに大別される。

  1. 人体への影響への問題
  2. 機器への誤作動の問題

人体に対しての電磁波の影響については、1890年代に、低周波による加熱作用がフランスの科学者によって発見されました。さらに1900年代には人体にラジオ周波数帯の高周波電流を流して、その熱作用によって神経痛などを治療する温熱療法が行われ始めました。
第2次世界大戦にはレーザーが開発され、レーザー技師等、関係する人たちへの電磁波の影響が懸念されるようになり、人体への電磁波の影響の研究が欧米で精力的に行われるようになりました。その結果、人体に対する電磁波の影響は下記の3つに分かれることが判明しました。

  1. 刺激作用
  2. 熱作用
  3. 非熱作用

ここで注意する点はすべての電磁波が上記3つの作用がある訳ではないという点です。
なぜならば、電磁波の周波数や電力密度、照射時間などによりそれぞれ特徴があり、影響力が大きく違ってくるからです。 電磁波問題を表にまとめると下記のようになります。

「携帯電話の電磁波とは」で説明したとおり、ケータイ電磁波は高周波のマイクロ波に分類されます。
マイクロ波が人体に及ぼす影響について「刺激作用」、「熱作用」、「非熱作用」に分けて考えていきましょう。

刺激作用

電波があたっている金属に触ると、人体に電流が流れます。
また、電磁波の影響により体内で誘導電流を生じる場合もあります。
これらの電流がある程度の強さ以上の場合には、「ビリビリ」「チクチク」と感じます。
これが電波による刺激作用です。
この感覚は電波の周波数と関係していて、100Hz程度までは感じ易いのですが、100kHz程度になると弱いものとなり、100kHz以上ではほとんど感じません。つまり、電波の周波数が高くなるほど影響が薄れてくるということです。電流が流れて刺激を感じること自体は危険ではありません。
低周波治療機はこの刺激作用を利用した医療機器です。
携帯電話の周波数は100kHzより高いので、刺激作用はありません。従って、ケータイ電磁波については刺激作用は問題外となります。

熱作用

電波が人体にあたると、その一部は反射されますが、一部は人体に吸収されます。
吸収された電波のエネルギーは熱となり、全身または部分的に人体の体温を上昇させます。
この温度上昇によって起きる生体作用を熱作用といいます。この温度上昇のため、暖かく感じることがあります。
この感じ方も周波数と関係しており、刺激作用とは逆で刺激を感じなくなる100kHz辺りから熱作用のほうが大きくなり、10MHz以上になると熱作用が支配的になります。
携帯電話で使われている電波の周波数(800MHz帯、1.5GHz帯、2.0GHz帯)は、熱作用が支配的となる周波数帯に属しています。
また、電磁波の熱作用を利用した調理機器が電子レンジ(2.45GHz)です。
このケータイ電磁波と電子レンジ電磁波が非常に近い周波数帯(同じマイクロ波)ということが、ひとつ大きな問題になっています。
電子レンジの中の食物と同様に、携帯電話を使用することにより人間の脳や眼球も加熱されているのではとの意見もあります。
イギリスの「サンデー・タイムズ」紙は「危険!携帯電話があなたの脳を調理する!」(1996年4月14日)という衝撃釣な見出しの記事を掲載したこともありました。
また、マイクロ波の特徴でもあるホットスポット効果(ものの中心に電磁波が集まり熱を発生させるというもの)により頭部の中心部が集中的に熱せられているのではとの考え方もあります。
確かに、体温が1~2℃程度上昇するだけでも、人体に大きな影響を与えるということは多くの動物実験から知られています。
特に、血管が少ない眼球や睾丸は、熱拡散が難しいので特に熱の影響を受けやすくなっています。
すでに20年以上前にウサギの目にマイクロ波をあてつづけたら発熱現象によって水晶体が白濁して白内障になったという報告がアメリカにあります。
しかし、電子レンジの出力500~600W(ワット)に対して携帯電話は0.6~0.8Wですので、1000分の1程度のエネルギーとなります。
総務省の生体電磁波環境研究推進委員会の研究結果においても携帯電話での熱作用は認められないとしております。
しかし何年間も使い続けている立場からすると決して気持ちの良いものではないですね。

※1℃程度の体温上昇を引き起こすには、安静状態の人で全身に1kgあたり約4Wもの電波のエネルギー(全身平均SARで1~4W/kg)を吸収する必要があります。一般の環境において、このような大きな電波のエネルギーを吸収する場合はありませんので、熱作用による人体への影響は問題ないと言われています。

非熱作用

3番目の非熱作用こそが電磁波問題の中心と言っても過言ではないでしょう。 電磁波無害説派の人たちは非熱作用は無いと言っているのに対して、有害説派の人たちは人体に下記のような影響があるのではと危惧しています。

  • 遺伝子損傷
  • 腫瘍や白血病などのがんが発症
  • 頭痛
  • 睡眠や学習に影響

携帯電磁波(マイクロ波)の非熱作用についての報告も確かに存在します。
『火の無いところに煙は立たない』とも言います。安全だと言われたとしても、やはり心配です。
下記に非熱作用が確認されたふたつの報告をあげましたが、非熱作用認められずの報告もたくさんあります。
まだ、結論が出ていない問題なのです。

携帯電話に使われているマイクロ波をラットの頭に2時間にわたって照射した実験レポート

(アメリカ ワシントン大学 ヘンリー・ライ博士 1999年)
2.45GHz帯の電波を照射されたラットの脳細胞で、遺伝子を構成するDNAの鎖が切断される現象が多くみられたといいます。
細胞がガン化するメカニズムのひとつとして、遺伝子DNAが傷ついて本来の増殖ができなくなり、異常な細胞としてガン細胞が生まれます。
DNAの損傷は日常的に起きる現象なのですが、通常は修復機能ががあり、ガン化を回避しています。
しかし、その修復機能がマイクロ波によって低下したのではないかと述べています。
携帯電話のマイクロ波が直接脳腫瘍を作るのでは無く、ガン化を促進させる作用があるのでは?ということです。

なぜ、携帯電話使用者は頭痛になるのか?

(フランス ボルドー大学国立科学研究センター・研究責任者ピエール・オービノー博士 2001年)
ラットの脳に0.9GHz(ヨーロッパの携帯電話周波数)の電磁波を2時間照射したところ、脳内のタンパク質が小さな血管から脳をとりまく硬膜と髄膜や脳内にも漏れているのが確認された。オービノー博士は「タンパク質が刺激材として働き炎症や水腫を引き起こしそれが頭痛をもたらす」と説明した。
その際、SAR値2W/kgで血液脳関門の漏出が起こり、わずかだが0.52W/kgでも漏出がみられると注目する研究内容を明らかにした。
(SAR値2W/kgは総務省が安全だとしている日本の基準です。SAR値についていの詳細は「SAR値を知ろう」をご覧ください。)

上記はいずれもラットに対しての実験研究ですが、研究手段には実験研究の他に疫学調査というものがあります。疫学調査とは病気の原因と思われる環境因子を設定し、その因子が病気を引起こす可能性を調べる統計的調査を言います。(用語解説→疫学調査)
例えば携帯電話を使いつづけているグループと使わないグループを比較して病気の発生率を調べる方法です。
しかしながら人体実験につながりやすく、人道上の問題からも実行は不可能だと言われています。
送電線の電磁波を対象とした調査は付近に在住する人たちの協力により、ある程度の調査は可能ですが、移動しながら利用する携帯電話については疫学調査には向いていません。
携帯電話基地局については送電線と同様、疫学調査は可能なのですが、そのような調査はあまり進んでいないようです。携帯電話基地局の建設反対運動に対しては、事業者側は「安全だ。」の一点張りのようですが、携帯電話事業者が資金を出して基地局周辺の疫学調査を率先してやるべきでしょう。

国(総務省)は「電波が非熱作用を引き起こすという確固たる証拠は示されていないので安全だ。」とのスタンスですが「電波が非熱作用を起こさないという証拠」もないのです。

  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+
PAGETOP
Copyright © 携帯電磁波レポート All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.